いいお産(良いお産)ってどんなお産? お産をなさるご本人、ご主人、ご家族の皆様、そしてお産のお手伝いをする医師、 助産師、医療関係者と立場、立場によって感ずるところは多様でしょう。
古今東西を問わず、赤ちゃんと、お母様が無事で元気であることが先ず第一、お産に際して なるべくなら苦痛の少ないことなどは誰しもが求めるところでありましょう。
勿論、私にも母児共にお元気であること、産婦さんが、さしたる苦痛も無くお産を すますことができれば、これほど悦ばしいことはありません。
しかし、40余年ものあいだ産科医の道を歩んで参りますと、一言でお産と言われてはいますが、これほど千差万別なものはなく、夫々のケースでハプニングの連続だ ということが次第に見えて参ります。
お腹の赤ちゃんは、ご夫婦ですらあずかり知らぬところで命の光を授かり、成長 し、科学の進歩にも関わらず、人の力の関与できないメカニズムにより誕生し、 この世に生を享けるのです。
となりますとお産に際し、必ずしも100点満点ばかりが与えられるものではな い事がお解かりいただけると思います。
お産に際し最も素晴らしいと感じられるのは、産婦さんがこれから誕生しようと する赤ちゃんのために、最大限の努力をし、またご主人を初めとするご家族が しっかりと産婦さんを物心両面でサポートする。医療スタッフもまた、全知全能 を傾けて産婦さんを介助し、ご家族に情報を提供する、そのひとこま、ひとこま でありましょう。
産婦、家族、医療スタッフがしっかりとした絆で結ばれながら進められたお産、
産婦さん自信、新しい命の誕生のために一生懸命頑張ったお産、ご家族も懸命に励ました、祈ったと 自信を持って言えることのできるお産、医療スタッフも力の限りをつくしてお手伝いをしたことに自信を持てるお産こそが「いいお産」「良いお産」であると
確信するのですが如何でしょうか。