最近では割合に知られた性感染症になってしまいました。あまり好ましいことではないのですが。というのも若者のあいだ、特に十代の感染率が驚く ほど高いからです。毎日診療していますと貴女も、そちらの貴女もといった状態で感染者が見つかってしまいます。感染が確認されたら直ちに治療することが大切です。
都合の悪いことにこの病気は自覚症状が非常に軽いため、おのずと受診の機会を逸したり遅れたりしがちです。 症状はおりものがやや増えた、多少いつもと
違った匂いがする、軽いお腹痛があるといったところでしょうか。お腹痛まで感じることは少ないので気付くのに遅れてしまうのです。
となると全く別の発想から、あの時は何かやばい感じだったなあ、あるいは感染予防のためのコンドームの使用をおこたってしまったと感じた時はまず検査を受けるくらいの
用心が必要でしょう。
当院では子宮頸管(入口部分)から分泌物をとり、クラミジアの菌そのものの存在を検査しています。最も早く(感染直後から診断可能)正しく現在の感染の
有無を調べることが出来ます。検査は痛かったり苦しかったりするものではなく非常に簡単、短時間で済みます。
よく血液の検査を受けたとおっしゃる方がおられます。これは感染により引きおこされる血液の変化をみて判断する方法です。菌を直接探しているものでもなく、血液に変化が
あらわれるまでの時間が必要ですし、菌がいなくなっても血液がそれに対応する状態を表すまで相当の時間的ロスが生じ、今現在の状態を調べるのに理想的な検査法とはいえま
せん。尿の検査はさらに不確実なものです。
感染の結果を放置するとクラミジアは貴女の人生を大きく左右することがあります。少し大げさですが感染を知らずに放置しますと菌は子宮、そして卵子の通り道である卵管の
中で増殖し、大切な卵管の通過障害をまねきます。その結果厄介な不妊症になる人が少なくありません。
また、感染を放置したまま妊娠を続けますと、妊娠初期では子宮外妊娠、流産、妊娠後期では早期破水、早産の原因になります。また出産に際し赤ちゃんが産道でクラミジアの
感染をうけ、出生直後からクラミジア性の肺炎や結膜炎を起こしてしまうこともあります。決して安易に放置しないことが大切です
この菌はもともと人の体に住み着いているものではありません。必ず人からの感染によってもたらされます。それも口からを含むセックスによってのみ
感染するものです。一緒にいる時間が永くても飛まつ感染、単なる接触では感染しませんし、お風呂でうつるということもありません。
おっくうがらずにコンドームの使用を心がけましょう。一番大切なことはお互いに病気をうつしたりうつされたりすることの無い信頼できる人間関係を
作り上げることでしょう。
治療は非常に楽になりました。よく効く薬が作られたからです。普通 この薬を3日間のむだけで一区切りの治療は終了します。 ただ一つ大切なことは セックスの相手の方も貴女と同じ時期に治療を受けていただくことです。もちろん相手の方も検査を受けて菌が見つかればの場合にはということになるのですが、貴女に菌が 見つかっている場合は相手のかたの検査結果に関わらず二人で同時に薬をのみ、お二人の間から菌を無くすということが完治のためには最も大切なことです。もうひとつ、 治療が終われば約2〜3週間後にもう一度検査を受け菌がいなくなっていることを確認しておきましょう。