世の中にはマンモグラフィーという言葉があふれています。確かにその機能には目を見張るものがあります。そして、その機能を最大限に活用しなければ
なりません。しかし、マンモグラフィーにも得意、不得意のあることはあまり語られていません。何が何でもマンモグラフィーさえあればではないことも一寸は知っておき
ましょう。
乳癌検診? 一寸めんどう、一寸はずかしい、、、
ご自分で調べる方法があります。 そんなことできるの? 大切なポイントをおさえれば意外に簡単ですよ。自分で見つけて受診される方が多いのです。
まあ考えて見てください。医療機関での検診は年に一回、いや、二年に一回が良いところですね。それに比べて自己検診なら月に数回、いや、お風呂へ入る度にでもできる
のですから捨てたものではありません。決して「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」ということではありませんが、一寸似た雰囲気は否定できません。失礼かな? すみません。
何はともあれ、方法さえ覚えれば何でもないことです。ぜひ実行しましょう。
乳癌検診といえばしこりを探すイメージが頭に浮かびます。しかし、それは少し違います。しこりを探す前に目でしかと確認するところから始めます。
お風呂の前にでも、直立または椅子に座った状態でご自分の胸を鏡に映してみましょう。両腕を頭の上方にしっかり伸ばした状態でも観察してみましょう。
1.エクボのようにへこんだところはありませんか
2.乳頭(ちくび)が最近今までにない方向に向きを変えていることはありませんか
3.乳頭の高さが左右違ってきていませんか。
4.乳頭が湿疹のようにジクジクしていませんか。(授乳期のお母さんは例外です)
5.乳頭から膿状のものや出血があり、肌着についたりしませんか(特に片方のみ)
6.特に片方の乳房のみが夏みかん状に毛穴がはっきりして、赤く腫れ上がっているのは恐ろしいサインです。そのようなことはありませんよね。
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人差し指、中指、薬指の第一関節、手のひら側のふっくらした部分をつかいます。このふっくらした部分で乳房表面を少し圧を加えながら移動します。
この指の動かし方をピアノタッチでと表現することもあります。
乳房全体をくまなく移動します。右の手、左の手、使いやすいほうの手で探って見ましょう。あまり軽いタッチで表面を掃くような感じになってはいけません。強すぎない
程度ではありますが圧を加えないとしこりは引っかかってきません。
お風呂に入っているとき、体に石鹸が付いている状態だと、指のすべりもよく、体もリラックスしていて非常にわかりやすいものです。
何かあたったような感じがしたときは、何度でもその部分を行ったり来たりしてみましょう。今度は何もさわらない。そのようなことは我々にも常にあることです。あきらめず
時間をおいて、日にちをおいて又試してみて下さい。二度目に同じ感覚が得られたなら、必ずそこに何かあります。すかさず診察を受けましょう。
時期的には生理が終わって4〜5日目の時期が最適です。
また太った方は上向きに寝た状態で、胸の下に座布団を折っていれ、乳房が前面に突き出すような姿勢で探るのがわかりやすいでしょう。
腫瘍が発生する位置に偏りがあることも知っておくと有利です。乳頭を中心にして
外上がわ(腋の下に向かっての1/4)40%、内上がわ22%、外下がわ16%、内下がわ9%となります。外上側の1/4の部分で最も多く発生することをお忘れないようにいたしましょう。
同時に腋の下にもしこりがないか探ってみてください。
乳癌が両方の乳房に時を同じくして出てくるなど、常識的には非常に少ない確立です。ですから両方が同じように変化している時は、むしろ
悪性(乳癌)には関係ない症状と考えてよいでしょう。
同時に、痛い、張るという症状もよほど症状の悪化した悪性腫瘍でもない限りあろうはずはありません。いずれもホルモンの活動による乳房の変化と考えるのが普通です。
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2005年度 2006年度 日本医師会生涯研修講座聴講録