外陰部や膣壁に出来るイボで、皮膚面にできるもの、粘膜面にできるものがあり、それぞれ形、性状は異なります。
多くの場合、患者さんは外陰部皮膚面に出来る2〜3mm長の魚のひれ状に先の尖った突起(イボ)の出現で気がつきます。 触感は鮫肌の様なザラザラした感じで、単発で一つ二つと見られることもあり、多数が密集して発生していることもあります。放置されている場合、手の平の大きさ程にも繁殖 することもあり、治療に困窮することがあります。粘膜面や膣内壁に発生したものは突起状にはならず、表面が丸い丘状になる場合が多いようです。自覚症状はイボがある ことによる違和感が主で,痛みや出血などの苦痛を伴う症状はありません。しかし、他人へ感染の危険があります。
パピローマという名前のウイルスの感染で発症します。大部分はセックスにより感染します。潜伏期は数週間から数ヶ月と 長いため感染の機会を特定することは困難です。
現在ではコンジローマの90%以上がパピローマウイルスの6番、11番という種類の感染によることがわかっています。
またSEXパートナーが罹患している場合、75%の確立で相手に感染し、日本では年間2万人が罹患していると報告されています。
さらに注意しないといけないのは6番、11番は外陰上皮内腫瘍や外陰癌を発症させる原因になるということです。これ等の癌は婦人科癌の中では3%と比較的少ない癌ではありますが、かといって放置できない問題です。
切除、冷凍凝固が多くおこなわれています。最近では健康保険が適用できる塗り薬もあり、治療の幅が広がりました。多発している場合には塗り薬を使います。完治するまでに相当の期間を要しますが、再発率は13
%と報告されています。
現にあるイボは治療できますが、潜在する(皮膚の中にいる)ウイルスを無くすことはできません。したがって処置後も定期的に(2〜3ヶ月に一度)診察を
受け、遅れて出てくるものが無いか充分に経過をみていかなければなりません。もちろん新しく出てきたものが見つかれば再度とらなければなりません。
パピローマウイルスという名前は最近よく耳にするようになり、すでにお聞きになった方があるかもしれません 。その理由はこのウイルスが子宮頸癌の発生に関与していることが明らかになったからです。しかし、よくお聞き下さい。このウイルスには150種以上もの種類があり、
それぞれに番号がつけられています。コンジロームを引き起こすのは6番11番のパピローマウイルスで、子宮頸癌の発生にかかわっている種類とは全く別の種類になります。
ちなみに子宮頸癌の発生に関わっているのは16,18,31,33,35,39,,,,,,等の番号のついたものであることがわかってきています。従いましてコンジローマの発生と子宮頸癌の発生
との直接の関係は無いと考えて差し支えありません。
ただし、6番、11番も数は少ないとはいえ外陰上皮内腫瘍や外陰癌(婦人科癌の3%)の発症の原因となることがあるのですから楽観は出来ません。
子宮頸癌の項で詳しく述べられていますが、現在ではパピロマウイルスが感染しているかどうかを番号指定で調べることが可能になっています。ただし、ウイルスそのものを退治する治療法はありません。またこの検査は特別の場合を除き健康保険の適用は出来ません。
ウイルスが体に浸入しないように予防接種をする方法が開発されています。日本国内では2種類の予防接種が承認されています。
1:サーバリックス 頸癌発症の原因になる16,18に対する予防接種
2 : ガーダシル 頸癌と大部分の尖圭コンジローマに対する予防接種
子宮頸癌に対する予防接種は国と地方自治体の尽力により、全国で中学女子に無料接種が平成23年度より開始され、24年度も実施の方針が固まりつつあります。