ヘルペスウイルスが感染して引き起こされる小さな水ぶくれのできる疾患です。原因となる単純ヘルペスウイルス(HSV)には二つの種類がありT型とU型に分類されて
います。T型は主に口のまわりで増殖し、U型は性器で増殖します。しかしT型もオーラルセックスなどにより性器に感染をおこす場合もあります。
セックス後3〜7日で接触部に強いかゆみ、痛み、ピリピリ感が起こり、小水疱ができてきます。水泡は次第に破れビラン化(皮膚面がズルムケた状態)してきます。
絆創膏や包帯で対応できる場所ではありませんし、ご自身は体を動かすたびにビラン面が衣服にすれ、ひどい痛みに悩まされる困った病気です。
非常に有効な薬が作られるようになり、7〜10日で表面は乾燥し治癒に向かいます。しかし、このウイルスは末梢神経を伝わって体の中心方向に進み、脊髄神経節に達し
そこで住み着いてしまいます。この神経節内に住み着いているウイルスが、発熱性疾病、疲労、紫外線などの刺激により活性化され、末梢神経を今度は下降して外陰部に表れ
病状を再発させ、水泡やビラン面の出現を繰り返します。何度も再発を繰り返し、うっとうしい病気です.
現在ではこのウイルスの活動を押さえ込む非常に有効な薬があるため、以前のように治癒までにひと月あるいはそれ以上もかかるということは めったにありません。症状が局部の狭い範囲だけに限られている場合は軟膏の塗布を、範囲が広い場合やリンパ腺に圧痛や腫脹が及んでいる場合は経口薬も併用します。 発熱など重症化している場合には薬剤の点滴投与が必要な場合もあります。薬の価格がやや高価なのが欠点ですが他に変わるものはありません。
体に住み着いたウイルスを退治する有効な治療法は開発されていませんので、再発を繰り返すのもある程度 仕方の無いことと受け止めるしかありません。発熱性疾病、疲労、紫外線などの刺激により休止中のウイルスを活性化 させ、再発が繰り返されるのです。なるべく再発のきっかけを作らないよう健康管理に気をつけましょう。また、痒み、痛み、ピリピリ感を感じたら早めに治療を始めましょう。この時期に発症を食い止めることが出来れば れば案ずることはありません。
症状を軽く見ていると鼠頚部(太ももの付け根)リンパ節の腫れや圧痛が出てきたり、首のリンパ節までが腫れるようになり発熱 し、ついにウイルスが脳にまで達してしまう困った病状に進行します。
手洗いを励行し、水泡やビラン面に触れた手指やタオルを決して目に持っていかないよう注意しましょう。ウイルスが目に感染すると
危険です。
またその手で他人に触れることのないよう注意しましょう。
ベビーが産道で感染を受けてしまう危険があります。ベビーがこのウイルスの感染を受けると 致命的な結果を招きます。この危険を回避するため分娩直前に外陰部にヘルペスが発症した妊婦さんは帝王切開による出産という非難行為をとり、赤ちゃんの危険を回避する 処置が取られます。