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性感染症が心配です            性感染症 見出しの頁へ

今さかんに言われている子宮頸癌とその発病にかかわれHPV
(ヒトパピローマウイルス)のお話し

最近急速にその名が知られるようになってきた癌で、若い、いや少女期後半を含む女性にとって非常に重要な意味をもつ癌であることが明らかにされました。

そして癌を確実に防ぐことができるところまで到達したのは、世の中進歩してきたとは申しましても、今のところ、この子宮頸癌(けいがん)だけなのです。

女性特有の癌で代表的なのは乳癌と子宮癌です。子宮癌には頸癌と体癌との二種類がありますが、数の上では圧倒的に頸癌が多く、頸癌は若い世代を襲う癌と考えていただいて間違いありません。

特にテインエイジャーや独身の女性の皆さん、「私達は未だ関係ないは、早すぎる」とお思いなら、今すぐ考え直していただきたいのです。

子宮頸癌に罹患する原因は、最初のSEXを経験したところから始まります。そしてその侵入経路はSEX、いやSEXのみならず、KISSをはじめ全ての性行為にわたります。

* SEXによって発病の原因となるウイルスが入ってきます。

その時、何が起こるのでしょう。それはSEXを介してパピローマウイルスという目にも見えない微生物が貴女の体にうつされることに始まります。そしてこのウイルスは貴女の子宮の入り口を覆う扁平上皮上にある小さな傷口(シンデカン)からさらに深層に侵入を開始します。わかり易くいえば、貴女の体に浸入した目に見えないウイルスが、子宮頸癌の発生に重要な役割を果たすのです。

しかし早合点は禁物、このウイルスの侵入を受けた人すべてが子宮頸癌になるのではありません。感染が原因で癌が発病する割合は0.15%,1000人が感染をうけると2人弱の人が癌になる危険度になります。逆に、ウイルスさえ浸入してこなければ子宮頸癌になることは先ずないとも言えるのです。

となりますと、この癌をおこすウイルスが体に入ってくるのを予防することが一番です。どうしましょう。

単純にはSEXがないのが最も確実ですね。でも、そういうわけには行きません。SEXのある生活がいつから始まるのが良いのかはなかなか難しい問題です。ただ、日本の現状では、東京都の女子高校生はその40~50%が高校時代に経験済みと報告されています。その前に何等かの予防処置がとられなければなりません。性感染症の予防だけではなく、子宮頸癌の原因になりうるウイルスの浸入を防ぐ意味でのコンドームの使用についても、しっかりした性教育が早い時期(中学在学中)からの実施が必要です。ただコンドームの使用は緊急避難処置以外の何物でもありません。

それでは、確実にそして一生(理想的には)このウイルスの浸入を防止する手立てはないのでしょうか?

* 予防注射で原因ウイルスの浸入を防ぐことができます。

それがあるのです。全く新しい方法で、世界中で使用が始まりました。日本でも今年(2009)10月厚生労働省の認可がおりました。予防注射による感染予防法です。
ウイルス感染が子宮頸癌の発生の原因になることを証明したドイツのフォンハウゼン先生はその功績により昨年ノーベル賞を受けておられます。ですから、このお話しは眉唾でも何でもありません。

さて、具体的なお話をいたしましょう。麻疹(はしか)や風疹もそれぞれの病気を起こすウイルスの感染によって発病します。これを食い止めるには予防接種を受けますね。全く同じように子宮頸癌を起こす原因になっているウイルスに対する予防接種をすればよいのです。そのような便利な(頼りがいのある)予防注射ができており、各国で接種が始まっています。

予防接種の効果は6年間継続するところまでは確認が済んでいますが、ワクチンの歴史があさいため、それ以上長期の継続性については確認がとれていません。ただ、この予防接種の免疫力は非常に強く、一度接種すれば生涯持続するだろうと考えられています。

発癌に関与するウイルスにも多くの種類がありますので、予防接種だけによる頸癌の予防効果は70~80%あると考えられ、その上定期的な子宮癌検診をうけることにより、子宮頸癌にたいする予防効果は90%以上になると考えられています。

* 自然感染による免疫力の獲得はありません。

また、麻疹や風疹などはその病気に罹患すると体に抗体がつくられ、予防接種を受けたのと同様に体に病気に対する抵抗力がつくことはよく知られています。

しかし、子宮頸癌を引き起こすパピローマウイルスの場合、自然感染による免疫力はつきにくいことがわかっています。

今までSEXの経験のなかった方は直ちに予防接種を受けることが望まれます。


* 原因ウイルスの存否の確認検査をすぐ受けましょう。

SEXを経験したことのあるかたは、体内に頸癌の原因になるパピロマウイルスがいないことを確かめた後、陰性なら直ちに予防接種を受けると良いでしょう。ウイルスが体内にいるかいないかの検査は子宮の入り口(子宮頸管)からの検体採取で簡単に可能です。何等苦痛のある検査ではなく、ごく短時間で終了します。検査はいまのところ健康保険の適用外ですので¥4000程度の実費が必要です。

*予防接種を受ける前に感染してしまった方はどうなるのでしょうか。

注意は必要ですが絶望的になる必要はありません。人の体にはどなたにも免疫応答能と呼ばれる、体の外部からの攻撃に対応する機能があり、大部分(約90%)の有害感染を排除してくれています。

しかし、残りの10%の方たちにはウイルス感染が存続し、子宮頚部の細胞に長時間をかけながら異常を起こし始めます。この異常は進行程度に従ってCIN 1,CIN 2,CIN 3と分類されています。CIN 1, CIN 2まで(病変が初期段階)の場合、83~88%の人が正常に戻ります。CIN 1から子宮頸癌に進行する割合は0.3%です。

CIN 3の状態まで進みますと子宮頸部の細胞に高度の異常がみられるようになり、30~60%の割合で上皮内癌の状態を経てやがて子宮頸癌に進行します。それでも、CIN 3の状態で見つかり、直ちに治療を受けた場合、99.4~99.6%が根治可能です。

* ウイルスが体内にある方は特に定期健診が大切です。

以上の話からおわかりになるように、例えパピローマウイルスの感染を受け、そのウイルスが体の防御機能により容易に排除されず、感染が持続する状態になってしまっても、定期的に(少なくとも3ヶ月に1回)子宮頸部の細胞検査を続けることにより、高い割合で癌化を早期に見つけることができ、子宮頸癌の発病ごくごく初期の段階での治療が可能になるのです。

発病初期での治療は、子宮そのものの機能を損なうことなく完治をもたらし、治療が終われば、再び妊娠や出産も可能な体にもどることができます。

歳をとったら検診を始めますでは遅すぎます。


まとめ  子宮頸癌にかからぬために

1 予防接種を受けよう(性初体験前が最適。早い国では9歳、平均11~12歳)

2 性交渉があり、ウイルスの感染をすでに受けている人は定期的な子宮癌検診を受けよう。若い年齢層ほど大切。癌年齢になってからでは遅すぎます。

若い貴女、いますぐ行動をおこしてください。

女のお子さんをお持ちのお母さんたち、大事なお嬢さんたちが始めての性体験を持つ前に予防接種を受けさせてあげてください。


* 子宮頸癌は性感染症とは呼びません。

さて、SEXによって病気の原因をうつされると言いますと梅毒、淋病、クラミジアといった性病(STD)と同じように考えられがちですね。しかし、子宮頸癌の場合はウイルスをうつされても必ず全員が発病するのではありません。そのため子宮頸癌はSEXを介して感染したウイルスにより発病することは確かですが性感染症とはよびません。                    ▲ページの先頭に戻る

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