いつとはなしに出血します
さー、大変。癌とちがいますか、、、と駆け込んで来られる方は沢山おられます。そうです。その慎重さが身を守ります、大切に致しましょう。
生理の周期に全く関係なくいつとはなしに出血する場合、これは決して見過ごしてはいけない症状です。ほんの少しの出血、ごくうすい色の出血であっても、その中には
子宮癌のような恐ろしい病気のかすかな,しかし、確実なサインとして出現していることが少なくないからです。
病気発見のきっかけは、貴女のちょっとした観察眼にあることを忘れないでいただきたいと思います。
子宮膣部ビラン
このような症状に心当りがある時は子宮膣部びらんを疑ってください
1.わりあい頻回出血します
2.生理などの時期とは全く関係なく出血します
3.出血の様子はさまざまで、鮮血がついていることもあり、うす茶色い帯下 の こともあります
4.出血はいつまでも続くものではなく、放置していても知らない間になくな っています
5.SEXの後は特に鮮やかな血が出るように感じます
6.排尿、排便時にチョッピリ赤や茶色いものがつき、尿道や肛門からとは違 うように思えます。
7.何となく帯下(おりもの)が多くなったように感じ、ときにおりものを不 快に感じることがあります
8.痛を感じることはありません
9.貴女は生理のある年齢層に入っています(子供や老人ではありません)
診察には
膣鏡を使っての視診、びらん面から採取した材料による細胞診、診断の精度を上げるためコルポスコピー診、、細菌検査などが行われます。
膣鏡診は成熟女性にはまったく苦痛のないものですが、性体験のない女性の場合、多少窮屈に感じることがある場合もあります。産婦人科ではごく日常的に行われる基本的診察法ですので痛かったり、苦しかったりのご心配はいりません。
あまり深刻に考えすぎることはありません
子宮膣部びらんという言葉は患者さんにとって非常に判りにくい言葉です。なにか大変な病気のように聞こえがちですが、ご安心下さい。間違いなく子宮膣部びらんと診断されたのなら「病気ではありませんよ」と言われたのと同じことと考えていただいてかまいません。
膣部びらんのできる場所は、子宮頸癌の発症する場所にもあたります。必ず 細胞診などの精密検査を受けた結果、その心配のなかった場合のお話しであることをご確認下さい。
言葉の説明をいたします。びらんとはただれているという意味です。すなわち子宮膣部(子宮の入り口にあたる部分)がただれているという意味を示します。しかし、ここで使われるびらんという語は正しい意味では使われておらず、正しくはびらんのように見える箇所がある(ただれているように見える箇所がある)という意味なのです。
実にややこしい話で、医学用語にこのように紛らわしい言葉があって良いものかと思いますが、昔、この状態を発見した当時のままに、医学用語として使われ続けているのが現実です。
それでは、このびらんのように見える部分とは何なのでしょうか。これは子宮頸管(子宮の外部と内腔を結ぶ道)の奥のほうにある腺上皮(表皮も薄く内部の血管が赤く透けて見えている)が、活発な女性ホルモンの働きをうけて、子宮頚管の外側までせり出して見えているだけのことであって、病的な状態でも何でもないのです。
ただ、そのように表皮が薄く、血管に富み、分泌力の旺盛な部分が子宮外にまでせりだしてきますと、おのずと些細な刺激で出血しやすく、分泌物すなわち帯下が多くなり細菌が取り付く機会が多くなります。
多くの場合、放置しても差し支え無いのですが、困った症状が出ている場合にはそれぞれの症状をしずめるために治療が行われる場合もあります。
治療法としては、電気的、冷凍法、レーザー法を使い、びらん面を除去し分泌が少なく出血を起こしにくい粘膜(扁平上皮化成)の再生を図る方法が取られます。
治療は通常、外来の処置で終わります。当初は週2~3回の通院が必要で、終了まで2~4週かかります。入院は必要ありません。
もちろん健康保険が適用されます。
しかし、膣部びらんの発症を度々繰り返す人も少なくありません。 困った症状が無ければそのままにしておいて何等差し支えありません。