どなたもがご存知のように中絶は妊娠の早い時期に受けることが大切です。当然のことながら手術は小範囲で済み、麻酔時間も短くなります。 おのずと体に受ける負担も軽く、出血量も少なくて済みます。麻酔時間が短かければ麻酔薬の使用量も少なくなり体の負担をここでも減らすことが出来るのです。
ここで問題になる妊娠の時期について具体的にお話しましょう。すなわち妊娠がどのくらい進んでいるかについてです。
それには妊娠の時期の表現の仕方について理解しなければなりません。妊娠の計算は最後にあった生理の初日から始まります。排卵日に妊娠するということからしますと、少しおかしな話ですが、世界各国、計算のしかたは同じです。
最後の生理が始まった日から妊娠第一日、第二日と計算し、7日目が妊娠第一週の最後の日にあたります。続いて妊娠第二週に入ります。また、妊娠を月数で表現する場合は四週間を妊娠の一ヶ月と計算します。
私は中絶が比較的問題なく終了出来るのは妊娠十週まで(妊娠三ヶ月半ば)と考えています。十一週になりますと出血も多く、同じように手術は終了しますが、当然、術者である私の心の負担は大きなものとなり、もう少し早く受診してほしかったなとの感を強く抱きます。
中絶手術が確実に終了したか否かの確認は手術における重要な確認事項の
ひとつです。手術による摘出内容の確認が済んで初めて中絶の完了を確認できるのであり、この確認無しに中絶が終了したことにはなりません。早すぎる時期の中絶もまた、この点から問題があり、五週半ば以後が手術に
適切な時期になると考えます。
となりますと、中絶に適切な時期とは妊娠五週半ばから十週半ばの時期と言うことになります。