先生、どうしても産むことができないのですが
同意
この処置を受けるためには女性側、男性側双方の同意のあることが必須 です。
通院で受ける手術
外来の通院で受けることの出来るのは、妊娠3ヶ月の半ば、 10週くらいまでが常識的、すなわち比較的安全に手術の出来る範囲 です。11週になりますとかなり大量の出血が起こる場合のあることを
覚悟しなければなりません。ですから、手術を受ける場合は妊娠の週数 の進まないうちというのが常識です。
きまりを守って
大部分のケースは、静脈注射の経路で短時間作用する麻酔薬を注入し ます。全身麻酔ですから痛みや苦痛を感じることはありません。麻酔を かけたり手術を受けるには多くのきまりごとがありますので、手術に
際する注意事項は必ずお守り下さい。これが守られていない場合、手術 を延期しなければならないこともあります。 渡された案内書をよく読みましょう。
貴女の体を大切に扱う手術
子宮という器官は頚の長い球形の花瓶を逆さまにしたような構造をして います。 この長い頚の部分は流産しないようしっかりと閉じています。この部分
を傷つけないように広げるのが、この手術の重要なポイントです。特に今 まで出産を経験したことのない方の場合、傷が残らないよう慎重でなけ ればなりません。私は大部分の未産婦の方には先ずこの頚部に頸管拡張剤と呼ばれる細い
薬剤を挿入し、1〜2時間休んでいただいています。頸管はこの薬剤の作用 で無理なく、そして十分に拡張し子宮内での操作を容易にします。中絶 手術での不都合はこの頸管拡張の過程にまつわるものが多いからです。
貴女の体を大切に扱う手術
子宮の入り口が充分に開いたあと、スポイドと同じように 電気で作動する吸引器で子宮の内容を静に吸引します。当院では子宮内を力強く引掻くような 操作はいたしませんので子宮の受ける侵襲(ダメージ)も最小限に済まされます。
術後の慎重な確認
子宮内から取り出された内容は、肉眼的に充分に確認し、手術が確実に 終了したかを確かめます。肉眼で確認できなかった場合には組織学的な 検査でさらに慎重な確認をします。内容が確実に確認できることすなわ
ち手術が確かに終了したという証拠になるからです。この内容確認で 子宮の内容物が確認できないということは、子宮内で正常な妊娠が発育 しない子宮外妊娠など異常妊娠の存在を考慮しなければならない場合も
あります。
手術が終われば
このようにして終了した手術のあとは、次第に麻酔からさめ、普通、 2時間もおやすみになれば歩行が可能になります。麻酔から覚めたしば らくは、少々の腹痛は残っていますが、皆様充分に身の回りのことが
出来る範囲です。
全身麻酔を受けた当日は車やバイク、自転車の運転はお控え下さい。また、身近にある危険な機械類の操作もお控え下さい。
手術の後は
手術の後は翌日とさらに4〜5日後にもう一度の通院が必要です。普通、デスクワークのような仕事は翌日から可能です。
術後の診察の結果、経過が順調であれば手術翌日からはシャワーやシャンプーが可能です。術後5日からは入浴も可能になります。術後約2週が経ちますとジョグング、スイミング、セックスなども従来どうりにもどしていただいて大丈夫です。
術後の生理は
次の生理は術後約一ヶ月すればやってきます。そして、体は完全にもとの状態にもどります。
生理が規則正しく標準的にめぐってくる方は術後14日目前後には手術後初めての排卵がおこります。当然妊娠に気をつけなければならない時期ですのでご注意下さい。
妊娠11週を超えると
12週(4ヶ月)に入る妊娠の中絶は入院が必要になり、法的にも役所 に届けを出さなければならなくなります。それにもまして体の受ける 侵襲も非常に大きなものになります。中絶を選択される場合には出来る
だけ妊娠の早い時期にお受けになることをお奨めいたします。
これからは避妊を
中絶を繰り返さないよう確実な避妊法を取りましょう。こんにちでは 経口避妊薬(ピル)が最も普及した避妊法ですが、人によってはIUD (リング)の装着を希望される方もあります。各々については該当するページをお開き下さい。